オアシスの事実。
ここにいなければならない。いなくてもいいかもしれないけど、周りが許さないだろう。息を吸って、吐く。それだけ。それだけでいい。今は、なんとか許されている。
せめて迷惑をかけないように。私がいることで不快にならないようにしなくては。身なり、態度、言葉遣い・・・。相手が嫌な思いをしないように。
私は、なんでここにいるんだろう。ああ、そうだった。自分から、自ら望んでここに来たんだった。外から見たそこは、理想的だった。外部から守られていて、何の心配もない。生きていくのには十分だった。みんな、そう思ってオアシスを目指す。
でも、内部にも敵はいたし、自分の中にも敵はいた。オアシスに見えたのは一部。そこに入ってしまえば、蟻地獄。キラキラしているのは上の人だけ。おいしい蜜も上層部だけ。もちろん。都合のいいことも。働き蟻は、ずっと、そのポジションから抜け出せない。潰れたら他の蟻がカバーして働くだけ。
また、オアシスに戻りたいか?
戻りたいかもしれないし、戻りたくないかもしれない。あんなに苦しかったのに、もう、働き蟻にならなくていいのに、いざオアシスから出るとなると怖い。また、砂漠に放り出される。
戻っても、戻らなくても苦しいのは同じ。それなら自由を選ぶの?保守を選ぶの?
オアシスの外の世界は怖い。長い間オアシスにいたからそう思うのだろうか。もともとは、そこで生きていたのに。