ひとりでいること。自由と覚悟を輝かせるために。

 最初は一人だった。その覚悟はできていた。そのために勉強して、資格を取って、就職して、一人で生きていけるだけの基盤を整えた。これで、親にも兄弟にも迷惑をかけずに済む。親を安心させられる。兄弟が結婚したとしても、その配偶者から疎まれずにすむ。これで、きちんとした自立した大人だ。だから結婚しなくても大丈夫。

 

 でも、違った。結婚することができた。徐々に私の中の「甘え」が出てきた。夫に期待してしまうのだ。

 下重暁子さん(『家族という病』の著者)によれば、「期待しないこと」が家族が上手くいくコツだそうだ。お互い自分のことは自分でする。期待してしまうから、それができなかった時に大きく落胆する。最初から期待しなければいい。

 

 そっか、そうだった。結婚する前は「一人で生きていく」って決めてたんだった、私。それを夫のせいにして、なんだかんだ言って。まあ、夫の物の言い方が酷かったと思うけども。

 でも、それはそれでいいんだ。それは夫の考え方だから。私は私の考えがあって、それで生きていくって決めたから。

 共感してほしかったんだ。夫に。「ああ、君の夢は素敵だね、いいじゃない」って理解してほしかったんだ。大事な人だから、なおさら。その言葉で勇気が出るし、「やろう!」って気にもなれる。もっともっと、今以上に追い風がほしかったんだ。

 

 でも、もういいや。夫に話すのはあきらめた。話さなくても、共感されなくても、私の夢は私が実現する。誰かに「無理だよ」って言われても、「ふーん」って、聞き流すぐらいじゃないとその夢は実現しない。ここでくすぶっていても仕方ない。時間が過ぎるだけ。

 だったら、夢を叶えよう。もっと私が「生きてる!」って思えるように。「生きててよかった!」って思いたい。私自身が、心から、そう思うことができるなら、他人の評価なんて、もうどうでもいいんじゃない。

 

 旅に出るよ。自分のために。