夏祭りと一人。

 電話の向こう側は騒がしかった。あまり聞こえないから、電話できないよー!メールして!父は楽しそうだった。家にとって初孫となった甥っ子ちゃんは、今後夏祭りというものを初体験しているにちがいない。
 電話を切った後、急にさみしくて悲しくてどうしようもなかった。電話のあちら側とこっちの、あまりのギャップに追いつけなかったし、追いつく気力もなかった。
 
 一人なんだ___。
 改めて思った。

 私には夫がいる。だけど、一人だと感じた。
 喧嘩も、気持ちのすれ違いも終わったことだった。また、関係を再構築し始めたばかり。なのに。私は一人なんだ。
 みんなが、私以外の家族が幸せそうだった。初めての夏祭りを楽しみ、夏を感じる。花火にびっくりしている甥っ子を見て、一緒に笑って。

 私はそこにはいない。一人で、ここにいる。
 夏祭りに行きたかったわけではない。みんなと私の環境のギャップに耐えきれないかった。
 おひとりさま、かっこよく、憧れる。だけど、私はまだ、とても、遠い。こんな私は、おひとりさまなんてできない。

 さみしい。悲しい。